わたくしたちは、20年余の間、龍谷大学を中心に刑事司法の研究、教育および社会貢献活動を行ってきました。その成果と実績は、龍谷大学矯正・保護総合センター(2002年開設)、犯罪学研究センター(2016年開設)およびATA-net研究センター(2019年開設)の3つのセンターの拠点形成事業に結実しています。しかしながら、これまでの活動を通して、関西地区の刑事政策拠点を日本の刑事司法の研究・教育・実践活動の拠点へと発展させ日本発の刑事司法情報を広くアジア、さらには世界へと発信していくためには、大学の枠にとらわれていてはさらなる展開を期待できないことを確信しました。
2021年3月、第14回国連犯罪防止・刑事司法会議(京都コングレス)が京都で開催され、同年6月には第12回アジア犯罪学会年次大会(京都大会)が龍谷大学で開催されました。わたくしたちは、この世界に日本の刑事司法と刑事政策の現状と課題をアピールする絶好の機会に改革の志(こころざし)を共有する研究者・教育者・実務家が集まり、一般社団法人刑事司法未来を立ち上げることにしました。
わたしたちは、現在の日本において、一般市民に「十分なリーガル・リテラシー」を学ぶ機会が提供されていない現状を打開するため、刑事司法とそれを取り巻く社会に、科学的、人道的、国際的なスピリットとコミュニケーション・ツールを持った次世代の刑事司法の担い手を育成するシステムを構築し、広く普及させることを目的として、「一般社団法人刑事司法未来」を発足させました。
わたしたちの目標は、市民の、市民による、市民のための刑事政策を実現し、日本の刑事司法の未来を支える担い手を育成し、彼らが協働するためのネットワークを構築することです。
石塚 伸一